映画の音楽ってドラマチックで心に残る曲が多いと思いませんか?
今回は映画で使われた美しいメロディーのクラシックギター曲を5曲ご紹介します。
1.愛のロマンス
戦争の悲劇を静かに描いたフランス映画『禁じられた遊び』。そのテーマ曲として世界中に広まったのが「愛のロマンス」です。ギター一本のせつない演奏が映画の名声をさらに高めているようにも感じます。映画を機に有名になるイエペスですが、当時は無名でパリのカフェでギターを弾いていたそうです。
作者不詳のスペイン民謡とされてきましたが、いまはアントニオ・ルビーラが作った練習曲が原曲だとわかっています。現在、流布している楽譜は少し改作されていますが、弾きやすくなっています。クラシックギターの永遠の定番として今後も弾き継がれていくでしょう。
来日コンサートでイエペスの弾く「愛のロマンス」を生で聴けたのは私の中で一生の思い出です。
2.カヴァティーナ
アカデミー賞、受賞の名画『ディア・ハンター』。エンディングに流れる「カヴァティーナ」に涙した人も多いのでは。
スタンリー・マイヤーズ作曲の「カヴァティーナ」は、元は別の映画のために作られたようです。しかもピアノ曲でした。クラシックギターの曲として生まれ変わったのは、映画の音楽でもギターを弾くジョン・ウィリアムスによってです。この曲の虜となったジョン自身がアレンジしています。
弾きこなすのは難しいですが、これほど美しいギター曲はそうそうないと思います。
3.11月のある日
いまクラシックギターの曲で多くの人が弾きたいと思うのが「11月のある日」ではないでしょうか。
「11月のある日」は、キューバの鬼才レオ・ブローウェルが若かった頃に、同タイトルの映画のために作りました。映画ではギターをふくむアンサンブルで演奏しています。ソロ版は後に作られ、本人が録音もしています。
この曲はとても人気がありますが、長く楽譜が出版されませんでした。ようやく出た公式版はレコーディングとは少し違う部分があり、もやもやした記憶があります。
楽譜は現代ギター社の曲集が手に入りやすく、レコーディングしたものに近いのでお勧めです。
4.愛のワルツ
スウェーデンのギタリスト、セルシェルの演奏で知られるようになったのがノイマンの「愛のワルツ」です。どこか懐かしいメロディーとロマンチックなワルツのリズムが印象に残ります。
マイナーですが『沈黙の歓び』というスウェーデン映画で使われています。作者のノイマンはジャズ系のギタリストとのことですが、この曲はクラシックギターのために書いています。
5.さようなら(Farewell)
児童文学のベストセラーを相米慎二監督が映画化した『夏の庭』。全編を流れるクラシックギターの調べをブラジルのギターデュオのセルジオ・アサドが書き下ろしています。
劇中でひときわ印象的なのが「さようなら」という小品です。二重奏の曲が多い中、この曲はソロにもなっています。
アサドのほとんどの作品は技術的に難しいですが、この曲は比較的シンプルです。それが多くのギタリストに好まれている理由にもなっていると思います。
(楽譜情報)
1~4の曲は以下の曲集に入っています。
GG672 クラシックギター 名曲てんこもり BOOK Vol.1 ~愛のロマンスから 11 月のある日まで~改訂新版
5はこちらです。「さようなら」ふくめ3曲ソロの楽譜で、後は二重奏です。